今朝、バタバタと家を出た時にふと足元を見ると、タンポポの綿帽子。
爽やかな春の朝にそよそよと揺れていた。
花が咲いて、綿帽子になって、風で種を運んで……
タンポポが僕らの前に姿を見せてくれるのは春の短い時期だけ。
暑い夏から寒い冬まで、タンポポの種はどこにいるのだろうか?
カンカンに照りつける夏の日差しにさらされるだろうし、幼稚園児の芋掘りでかき混ぜられるだろうし、ガチガチに地面が凍る冬も来る。
僕らはタンポポを忘れている。春の黄色い花が咲くまで忘れている。
しかし、タンポポはじっと耐え待つ強さを持っている。去年も今年も来年も。
タンポポはまたタンポポとして来春に帰って来る。