施設の不具合対応を通して思う事
施設で建築的な不具合が発生すると、我がチームは、安全確保・原因解明・応急対応そして本格対応というステージを通して、施設を所管している部署に対して技術的支援を行っている。
そのうちの応急対応、本格対応。いわゆる修繕や改修工事のステージになった時に、少し気を付けないといけないことがある。
修繕や改修工事に求められる事としては、
・安全安心に利用できる状態への復旧
・再発防止、不具合原因の除去
・利用者のための早期の再開
・効果的、効率的な設計施工
・適切な費用の見極め
・設計施工業者の適切な選定
などなど
施設所管課に技術系職員がいない中で、技術的支援とはいえ、実はトータルでサポートしなければならないような状況が多くある。
まあ、できうる限りの支援は快く受けて取組みたいと思っている。
だが、うまくいかないこともある。
一番のジレンマは費用を差配できないこと。
修繕や改修工事の仕様決定(設計)や工事の発注は、もちろん施設所管課が費用を工面してきて行うことになる。
そもそもこんなご時世では、予期できない不具合に対する費用(裁量経費)はどこの課でもふんだんには持ってない。むしろ無謀なくらいに少ないのがほとんど。
新築でなく改修工事は現場の制約が多い。思った以上に工事費用がかかることが多く、施設所管課はいつもお金に苦労している。どうしても足りない時には、最低限の安全を確保したうえで、施工範囲を削ったり仕様を落としたりせざるを得ない。
仕様検討や業者見積り金額のチェックなどについて、技術的事柄といっても、本来ならば設計や工事の発注者である施設所管課を通して、請負業者に伝達しなければならないはず。
でもそれがなかなか難しい。
技術的事柄を事務系職員を中継させて伝える事の非効率さ。
わざわざ同席してもらっての協議(そのために全員の日程調整が必要)や、施設所管課に承知してもらっての請負業者への直接連絡など、スッキリ進められない。
しかも、発注に責任を持つのは施設所管課なので、最終的な仕様と費用を決定は施設所管課。ベストな選択をしてもらうための助言の方法も考えなければならない。
また、我々の支援だけで決まるのではなく、技術的課題以外にも施設の維持管理・運営には考慮すべき事もある。
まあ、いろいろ課題があるからやり甲斐もあるわけで、不満ばかりを言ってもしょうがない。
市有施設の維持管理は誰のためか、何のためか。どんな地域社会を支えたいのか。
課題を乗り越えるためには、ビジョン・ミッションをブレさせてはいけない。